内戦が続くシリアで、化学兵器の使用が疑われる攻撃で死亡した人はこれまでに70人を超え、数百人が手当てを受けています。シリアの反政府勢力はアサド政権による攻撃だとして強く非難していますが、政権側を支援するロシアは化学兵器は反政府側が所有していたものだと主張して真っ向から反論しています。
シリア北西部イドリブ県の反政府勢力が支配する町で、4日、空爆が行われたあと、付近にいた住民の多くが呼吸障害やおう吐、けいれんなど、化学兵器の使用が疑われる症状を訴えました。現地で医療活動を行っているNGOによりますと、これまでに子どもを含む72人が死亡し、数百人が病院で手当てを受けているということです。NGOは住民には瞳孔の収縮などの症状が出ているとしていて、猛毒のサリンなどの神経ガスが使われた可能性が高いとの見方を示しています。
今回の攻撃について反政府勢力や欧米各国は、アサド政権によるものだとして強く非難しています。これに対しアサド政権は、化学兵器の使用を否定したほか、ロシアの国防省は5日、「政権側が空爆したテロ組織の弾薬庫と武器庫の中に化学兵器をつくる作業場があった」として化学兵器は反政府勢力が所有していたものだと主張しました。
内戦が泥沼化しているシリアでは、これまでも化学兵器の使用がたびたび報告されていて、国連とOPCW=化学兵器禁止機関は、アサド政権が4年前に化学兵器の廃棄に応じたあとも、国際的に使用が禁止されている塩素ガスなどを使った攻撃を続けていると指摘していました。