台湾は、初めて独自で建造することを目指している潜水艦の設計に着手し、蔡英文総統が、軍備を増強する中国を念頭に、防衛力の強化とともに防衛産業の育成にもつなげる考えを表明しました。
台湾の軍は、中国が軍備を増強する中、周辺海域での潜水艦の能力を重視していますが、保有する外国製の4隻は老朽化が進んでいるうえ、各国が「1つの中国」の原則を掲げる中国に配慮して台湾への武器の売却に慎重なため、海外から新しい潜水艦を調達できる見通しが立っていません。
南部の高雄にある海軍基地では21日、蔡総統が保有する潜水艦の視察を行うとともに、初めて独自に建造することを目指している潜水艦について、国防部と造船会社などとの間で基本設計の委託に関する覚書の調印式が行われました。
演説した蔡総統は、潜水艦の建造は台湾にとって大きな挑戦だとしたうえで、「潜水艦の自主建造によって、台湾の安全や産業の発展を実現したい」と述べ、防衛力の強化とともに、造船や科学技術など防衛産業の育成にもつなげたい考えを表明しました。
軍では2024年までの潜水艦の完成を目指していますが、専門家などからは、海外の技術を導入せずにエンジンや武器を含めてすべて自力で開発するのは難しいという見方も出ています。