インターネット上のサービスを利用する際に、流出のおそれがあるIDやパスワードの代わりに、生活習慣のデータで個人を識別する「ライフスタイル認証」という新しい技術の実証実験が東京都内で行われていて、より安全で便利な本人確認の実現につながるか、注目されます。
この実証実験は、東京大学が13の企業と共同で、東京や大阪の商業施設で行っています。開発が進められている「ライフスタイル認証」は、スマートフォンで、買い物の支払いなどをする際に利用者の生活習慣を蓄積したデータと照らし合わせて個人を識別する技術です。
例えば、スマホの位置情報が、自宅や職場などふだんの行動範囲から離れていないかや、購入しようとしている商品がこれまでに見た広告やサービスの利用実績と合致しているかを点検し、大きくかけ離れていると判断した場合は、改めてログインを求めます。
今回の実験では、技術の仕組みを広く紹介するのが狙いで、専用のアプリをスマホに取り込んで、自分の星座を登録した人が、現場に設置されたモニターに近づくと、即座に個人を識別し、星座占いが表示されます。
今後は、どういった情報の組み合わせが認証の精度を高めるのに有効かを検討し、スマホを紛失した場合に、他人の不正利用を防ぐ技術も確立して、3年以内の実用化を目指すとしています。
本人確認の技術は、IDやパスワードのほかに、指紋や静脈の形などによる「生体認証」も実用化が進んでいますが、新たな流出のリスクも指摘されていて、スマホからわかる生活習慣で個人を識別するこの技術が、より安全な本人確認の実現につながるか注目されます。
東京大学大学院の山口利恵特任准教授は「IDとパスワードや生体情報のように1つの要素だけでの認証は破られる危険性があり、新たなシステムが必要だ。今後は、どんな個人情報を扱っているかを利用者にわかりやすく説明し、実用化を目指したい」と話しています。