防衛省が大学などの研究機関に資金を提供する制度について、日本の科学者を代表する日本学術会議の検討委員会は、「政府による研究への介入が著しく、問題が多い」とする声明の案を7日、取りまとめました。防衛省の制度などへの対応について、それぞれの大学などに慎重な判断を求める内容になっています。
日本の科学者の代表機関として国が設けている「日本学術会議」は、防衛省が、おととし、将来の防衛装備品の開発につなげるために、大学などの研究機関に資金を提供する制度を始めたことをきっかけに、去年5月、検討委員会を設けて、安全保障技術など軍事的な研究との関わり方について議論してきました。
検討委員会は7日、声明の案を取りまとめ、この中では、防衛省による資金提供について、「将来の装備開発につなげるという明確な目的に沿って公募や審査が行われ、政府による研究への介入が著しく、問題が多い」としています。
そのうえで、「大学などの研究機関は、研究の適切性を技術的・倫理的に審査する制度を設けるべきだ」などとして、防衛省の制度などへの対応について、それぞれの大学などに慎重な判断を求める内容になっています。
この声明の案は、来月開かれる日本学術会議の総会に提案される見通しで、正式に認められれば、これまで方針を明確にしていない大学も含めて、それぞれの大学ごとに安全保障技術など軍事的な研究への向き合い方を問われることになります。