北朝鮮の国営メディアは、キム・ジョンナム(金正男)氏が猛毒のVXで殺害された事件について、アメリカと韓国による「言いがかりであり荒唐無稽な詭弁(きべん)だ」と伝えて、重ねて事件への関与を否定し、非難の矛先を米韓両国に向けました。
これは、北朝鮮国営の朝鮮中央通信が伝えたもので、キム・ジョンナム氏が殺害された事件について、殺害されたのは「外交官用のパスポートを所持する、わが国の国民キム・チョル」として、ジョンナム氏であることをあくまでも認めていません。
そして、事件に猛毒のVXが使用され北朝鮮による関与が疑われていることについて、アメリカと韓国による「言いがかりだ」としたうえで、「いかに荒唐無稽な詭弁であり、科学性と論理性が不足しているかということは他国の専門家などの評価を見てもわかる」と主張して、事件への関与を重ねて否定しました。
そのうえで、「わが国のイメージを損ない、体制転覆を図ろうという目的であることは明白だ」として、非難の矛先を米韓両国に向け、「政治的な陰謀を続けるならば、われわれは強力な自衛的措置を取る」と警告しました。一方、マレーシアに対しては言及していません。
北朝鮮の国営メディアがジョンナム氏の殺害事件について伝えたのは、先月23日に「捜査には客観性と公正性がない」などとマレーシア側を強く非難する談話を伝えて以来、これで2回目です。