プロ棋士と人工知能が対局する将棋の「電王戦」で、ことしは、初めて、現役のタイトル保持者との対戦が実現することになり、出場する佐藤天彦名人は記者会見で、「苦しい戦いになると思うが、精いっぱい頑張りたい」と意気込みを述べました。
将棋の「電王戦」は、それぞれ予選を勝ち抜いたプロ棋士と将棋ソフトが二番勝負で対局するもので、ことしは、4月に栃木県で、5月に兵庫県で開かれます。
ことしの電王戦には、現役のタイトル保持者としては初めて、佐藤天彦名人が出場することになり、22日、東京都内で、対局相手の将棋ソフト「PONANZA」の開発者とともに記者会見に臨みました。
5年前の平成24年から行われている電王戦では、団体戦も含めると、過去、人間の5勝12敗1分けと、人間側が大きく負け越しています。
記者会見で、佐藤名人は「ここまで人間側が苦しい戦いを強いられていて、今回も厳しい戦いになるが、多くの方の期待に応えられるよう精いっぱい頑張りたい」と意気込みを語りました。
また、佐藤名人は、将棋ソフトの不正使用疑惑をめぐる一連の混乱にも触れて、「人間とソフトとの関係として、ネガティブな面が出てしまった問題だったと思うが、将棋ソフトが登場したことで、人間の側も新しい気付きを得られたというよい関係の部分もある。そうした、よい関係を伸ばしていけるように今回の電王戦を頑張りたい」と述べました。
電王戦を主催するIT企業の「ドワンゴ」によりますと、今回、現役のタイトル保持者となる名人との対局が実現することから、これを頂上決戦と位置づけ、電王戦は今回をもって最後にするということです。