中国の通貨、人民元のドルに対する為替レートはことし1年で7%値下がりし、中国当局が行き過ぎた元安を防ごうと市場での介入を行う中でも、この20年で最大の下落率となり、市場では経済の先行きへの懸念から来年も元安傾向が続くという見方が出ています。
上海の外国為替市場は30日がことし最後の取り引きで、人民元のドルに対する為替レートは日本時間午後5時半時点で、1ドル=6.9495元と、去年の年末と比べて7%値下がりしました。これは、年間の下落率としては、この20年で最大です。
元売りドル買いが進んだ背景には、アメリカの景気回復と利上げに対する期待感に加え、中国経済の先行きへの不透明感などがあり、今月には8年7か月ぶりの元安水準を記録しました。中国の通貨当局は行き過ぎた元安を防ごうと市場でドルを売って元を買う介入を行い、中国の外貨準備高は先月まで5か月連続で減少しています。
来月就任するアメリカのトランプ次期大統領が、中国を通貨を意図的に安くしている為替操作国だと批判していることなどから、中国当局は元の買い支えを続けるとの観測も出ています。
しかし、中国経済の先行きが不透明な中、介入を強めて外貨準備高がさらに減少すればかえって経済に対する懸念が高まるため、市場では来年も元安傾向が続くという見方が出ており、人民元相場とともに今後の中国当局の対応が注目されています。