日ロ首脳会談で交渉を開始することで合意した、北方領土での共同経済活動について、外務省は、両国の法的な立場を害さない形の「特別な制度」の検討作業に着手しましたが、税の徴収や司法の管轄権の在り方などをめぐり、どのような制度が可能か課題となる見通しです。
先週の日ロ首脳会談で、安倍総理大臣とロシアのプーチン大統領は、北方領土での共同経済活動について、「平和条約締結に向けた重要な一歩」と位置づけ、四島を対象に行うための特別な制度を設ける交渉を開始することなどで合意しました。
外務省は19日、ロシアとの交渉を担当する職員を集めた会議を開き、今後の交渉をどのように進めていくかなど、検討を始めました。
共同経済活動をめぐっては、日ロ両政府は声明で、「平和条約問題に関する日本とロシアの立場を害するものではない」という点で一致したことを明記していますが、北方領土に関する基本的な立場は変えておらず、今後どちらか一方の法律によるものではない「特別な制度」を検討することにしています。
日本側としては、国会の承認が必要な「条約」などの締結を念頭に置いていますが、外務省幹部は、「主権をめぐる主張が対立する中、何かを共同で実施する枠組みは国際法上、例が少ない」と話していて、検討にあたっては、税の徴収や司法の管轄権の在り方などをめぐり、どのような制度が可能か課題となる見通しです。