中国の製造業の景況感を示す先月の指数は、政府が内需の下支えを強める中、大手の国有企業を中心に改善し、2年4か月ぶりの高い水準となりましたが、小規模な企業では悪化していて、来年の中国経済をめぐっては、慎重な見方も出ています。
中国の国家統計局は毎月、中国国内のメーカーを対象に景況感を調査し、製造業のPMI=購買担当者景気指数として発表しています。1日発表された先月の製造業のPMIは、51.7で、前の月より0.5ポイント改善して、2か月連続で改善し、2年4か月ぶりの高い水準となりました。
これは、中国政府が、インフラ投資の拡大や自動車の販売刺激策など内需の下支えを強める中、大手の国有企業を中心に生産と新規の受注が一段と伸びたことによるものです。
ただ、民間資本が中心の小規模な企業の景気判断は前の月から0.9ポイント悪化していて、景気改善の動きが国有企業にとどまり、民間部門には十分届いていないとの指摘も出ています。
さらに、自動車の販売を刺激してきた減税措置が年内で終了することや、ドル高が進み、原材料の輸入コストが上昇していることなどから、来年の中国経済をめぐっては、慎重な見方も出ています。
中国政府は当面、景気に配慮して財政出動を強める方針ですが、採算性が悪いとされる国有企業の改革を進めながら、中小企業を育てて成長と雇用の安定を維持できるか難しいかじ取りが続きそうです。