OPEC=石油輸出国機構の総会がオーストリアで始まり、原油価格の低迷が長引くなか、OPECの加盟国が8年ぶりに減産に踏み切ることで最終合意できるのか注目されます。
OPECの総会は、オーストリアのウィーンにある本部で30日午前11時前(日本時間午後7時前)に始まりました。
原油価格の低迷が長引くなか、OPECはことし9月、加盟国全体の生産量に上限を設け、事実上減産することで合意していて、総会では加盟国ごとに割り当てる具体的な生産量について、協議する見通しです。
事前に行われた会合では、政情不安で生産量が落ち込んだナイジェリアとリビアを除く12か国が生産量を4%前後削減する案などが出されていて、欧米からの経済制裁が解除され、増産を計画するイランの対応が焦点となりそうです。
OPECが減産に踏み切れば、リーマンショックに端を発した世界的な景気悪化で需要が減少した2008年12月以来、8年ぶりとなります。
原油価格は9月の合意のあと、1バレル=50ドルを上回りましたが、その後はOPECが最終合意できるのか不透明だという見方もあって、40ドル台で推移しています。
総会でOPECが最終合意すれば、価格は1バレル=60ドル程度に上昇するという見方がある一方、決裂した場合、価格が急落するという予想も出ていて、OPECが減産に踏み切ることで最終合意できるのか注目されます。
原油価格の推移は
原油価格は、ことし1月、中国経済の減速で需要が落ち込むなか、欧米による経済制裁を解除されたイランが原油の増産を打ち出したことで、供給過剰への懸念が強まり、大きく下落しました。
この結果、国際的な指標の1つ北海産の原油の先物価格は、1バレル=27ドル台前半まで値下がりし、およそ12年2か月ぶりの安値をつけました。
しかし、2月にサウジアラビアやロシアなど主要な4つの産油国が、ほかの産油国の同意を条件に増産の凍結で暫定的に合意したことから、価格は上昇に転じました。
5月には、カナダの産油地帯で起きた山火事などで北海産の原油の先物価格は、一時1バレル=50ドル台を回復。ニューヨーク原油市場でも、ことし2月におよそ12年9か月ぶりの安値をつけた原油の先物価格が、一時1バレル=50ドル台まで値上がりしました。
しかし、6月に開かれたOPEC=石油輸出国機構の総会で、増産の凍結などの生産調整で合意に至らなかったことなどから、価格の上昇は続かず、原油価格は、再び1バレル=40ドル台で推移しました。
その後、OPECがことし9月、加盟国全体の生産量に上限を設け、事実上減産することで合意し、原油価格は、一時的に1バレル=50ドルの節目を回復しましたが、加盟国ごとに割り当てる生産量をめぐる協議が難航しているという見方もあって、一進一退の値動きが続いていました。
産油国はどう対応してきたか
原油安が長引くなか、OPEC=石油輸出国機構の加盟国やロシアなどの産油国は、生産調整に向けた協議を続けてきました。
ことし2月には、サウジアラビアなどOPECに加盟する3つの国と非加盟のロシアの石油担当の閣僚がカタールで会合を開き、生産量を1月の水準で据え置き、増産を凍結することで暫定的に合意しました。
ただこの合意は、ほかの産油国も同じように増産を凍結することが条件となっていたことから、これに欧米による経済制裁を解除され、増産を計画していたイランなどが反発。
増産凍結を協議するため、4月にカタールで開かれたサウジアラビアやロシアなど18か国の会合や6月のOPECの総会では、合意に至りませんでした。
しかし、ことし9月原油価格の低迷が長引き、加盟国の財政が厳しさを増すなか、OPECは、加盟国全体の生産量に上限を設け、事実上減産することで合意。
今回の総会での最終合意を目指し、加盟国ごとに割り当てる生産量について、協議を進めるとともに、ロシアなどの産油国にも減産の枠組みに協力するよう求めてきました。