NTTドコモと株式の売却をめぐる裁判を続けるインド最大の財閥タタ・グループは、ミストリ会長を事実上解任したことを明らかにし、外国企業とのトラブルは好ましくないとするインド政府の意向が働いたものと受け止められています。
インド最大の財閥タタ・グループの中核企業タタ・サンズは24日夜、「サイラス・ミストリ会長が職を解かれた」と発表し、事実上解任したことを明らかにしました。後任は、前の会長のラタン・タタ氏が一時的に務めるとしています。
サイラス・ミストリ氏は、5年前、43歳で会長に選ばれ、大胆な若返りで、長期にわたり安定的な経営体制を築くものと受け止められていました。今回の解任の理由は明らかにされていませんが、タタ・グループをめぐってはグループの携帯電話会社に出資し、26%余りの株式を保有していたNTTドコモが、収益不振を理由に、おととし撤退を発表したあと、タタ・サンズとの間の株式の売却をめぐる対立から今も両社の裁判が続いています。
一方、外国企業の誘致を進めるインド政府は、外国企業との間の裁判などのトラブルは、各国企業が進出をためらう原因になるとの考えだと指摘されてきました。このため、経済専門家の間では、今回の突然の解任は外国企業とのトラブルは好ましくないとするインド政府の意向が働いたものと受け止められています。