日本で感心したのは丼(どんぶり)やコンビニ、交番-。神戸国際大学(神戸市東灘区)の中国人留学生たちが日本の魅力を挙げた隔月雑誌「在日本(ざいにっぽん)」が今春、中国で創刊した。留学生が心の琴線に触れた事柄について率直な関心や敬意をつづり、7月には日本語版も刊行。尖閣諸島などをめぐり緊張する日中関係だが、同大の毛丹青教授(54)は「『反日』の言葉でくくれない、中国の若者が抱く日本への興味や憧れを知ってほしい」と願う。毛教授は2011年、中国で自らが主筆となって日本文化を紹介する雑誌「知日」を創刊。5年間で累計300万部を発行した。「在日本」は暮らして分かった日本の面白さを深く知ってもらおうと企画し、自身のゼミに参加する10~30代の中国人留学生ら約40人が編集に携わる。創刊号は「中国人がハマったニッポンのツボ」などと題し、留学生が日本で出合った70以上の食べ物や流行、風習、言葉をキーワードとともに紹介する。来日してよく食べた「丼」は日本文化の特長とみて、「一つの概念に新たな創意工夫を織り交ぜる精神は、他国の魅力を取り込んでさらに発展させていく」と解説する。また、コンビニは「道に迷ったら聞く場所」と表し、「日本らしい魅力にあふれたインフラ」と紹介。工夫に富んだ弁当を見ては「日本人の深遠な精神性」を感じる、とした。報道される反日感情とは異なる好意的な心情が文面から浮かび、毛教授は「生活に根付いた交流は、政治的緊張とは別の部分で進む」と強調。「隣国の若者の興味を知ることは日本人にとっても刺激になるはず」と日本語版の意義も語る。今後は反対に、中国で暮らす日本人による「在中国」の発刊も構想中だ。「互いにどう見られているかを知ることで知の交流が進む」と期待する。