<TPP>米議会承認めど立たず 数年単位で宙に浮く恐れも
日付:
2016-08-15
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米政府は12日、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の承認に向けた議会手続きを進め、来年1月のオバマ大統領任期切れまでの承認を目指す姿勢を明確にした。民主、共和両党の大統領候補がTPP反対を主張し、任期内の承認を逃せば、数年単位で宙に浮く恐れがあるためだ。だが、議会の不満は根強く、承認のめどは立っていない。米通商代表部(USTR)が12日議会に提出したのは、TPPに伴い改正が必要な法律や米政府の対応を示す行政措置案。これを受け、米政府は最短で30日後にTPP承認案を議会に提出できる。照準を合わせているのは、11月の大統領選終了から来年1月の任期切れまでの「レームダック」期間中の審議と承認だ。選挙中と任期切れ後の承認は厳しい。自由貿易による米国内の雇用減少などを懸念して、共和党の大統領候補、ドナルド・トランプ氏は離脱を唱え、民主党候補のヒラリー・クリントン氏も反対を明言。「選挙中の発言は就任後の政策を必ずしも縛らない」(元米政府高官)との見方もあるが、主要争点になったTPPへの態度を変えるには時間がかかる公算が大きい。このため、TPPを政権のレガシー(遺産)にしたいオバマ氏にとって、レームダック期間中の議会承認が最優先課題。なかでも議会多数派を占め、伝統的に自由貿易推進派が多い共和党の協力が不可欠だ。しかし、共和党有力議員のオリン・ハッチ上院財政委員長がTPPの合意内容に不満を示している。バイオ医薬品のデータ保護期間について、参加各国は実質8年で合意したが、ハッチ氏は12年を主張する。バイオ医薬品を開発する米大手製薬会社が自らの利益を確保するため、長い保護期間を求めているからだ。参加各国は再交渉を否定しており、オバマ氏はハッチ氏と接触するなど打開策を探るが、難航している模様だ。米メディアによると、ハッチ氏の関係者は12日、「課題が残る中の措置案提出は時期尚早」と反発し、承認の道筋が見えていないことを浮き彫りにした。日本の政府・与党は今秋の臨時国会でTPP協定案の承認と関連法案の成立を目指している。ただ、自民党の農林水産関係議員を中心に慎重論があり、一部では「米国で承認のめどが立たなければ、日本も無理に先行して承認する必要はないのでは」との意見も浮上している。