【ワシントン西田進一郎】米大統領選民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官(68)の陣営は12日、クリントン氏と夫のビル・クリントン元大統領の2015年度の確定申告書の内容を公表した。調整後総所得は計約1060万ドル(約10億7000万円)で、連邦所得税の実効税率は34.2%だった。共和党候補の実業家ドナルド・トランプ氏(70)は申告書の公開を拒否しており、公開で圧力をかける狙いがある。法律での義務づけはないが、大統領選の候補者が収入額や納税額を記した確定申告書を公表するのは1970年代から慣例になっている。クリントン氏は30年以上にわたって報告書を公開しており、「透明性」をアピールしている。陣営のウェブサイトには、07年度から14年度までの確定申告書などが既に掲載されており、今回15年度分を公開した。連邦税と州税、地方税を合わせた実効税率は43.2%で、調整後総所得の9.8%を慈善事業に寄付した。陣営は、副大統領候補のティム・ケーン上院議員(58)とその妻の10年間分の確定申告書もあわせて公開した。一方、トランプ氏は「監査中だ」などとして確定申告書の公開を拒否する考えを示してきた。米政治専門メディア「ポリティコ」は、トランプ氏が90年代に2年間にわたって所得税を全く支払わなかったか、ほとんど支払わなかったなどと報じている。