金融政策判断、マイナス金利効果・英投票の見極め必要=6月日銀要旨
日付:
2016-08-01
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東京 3日 ロイター] - 日銀は3日、6月15─16日の金融政策決定会合の議事要旨を公表した。会合では、金融政策の現状維持が決まったが、金融政策運営について、マイナス金利政策の実体経済への効果波及や同23日に行われた英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票の結果を見極める必要があるとの主張が展開されていたことが分かった。日銀は7月28─29日の会合で、上場投資信託(ETF)の買い入れ増額による追加金融緩和に踏み切った。6月会合では金融市場の動向について、英国のEU離脱問題などで「市場参加者が積極的にリスクテイクしにくい状況が続いている」との認識が共有され、国民投票の結果次第では「市場のボラティリティが急速に高まる可能性がある」との警戒感を多くの委員が指摘した。ある委員は、英国のEU離脱問題を受けて外貨流動性不足が懸念される場合は「関係する中央銀行と連携して流動性供給の面で必要な対応を取るべき」と語った。こうした情勢の中、先行きの金融政策運営について何人かの委員が「英国のEU離脱に関する国民投票の結果と、その後の金融経済動向を見極める必要がある」と指摘。マイナス金利政策に関しても、何人かの委員が「効果はすでに貸出金利の低下や社債発行額の増加などにみられるが、実体経済への波及度合いを見極める必要がある」とし、会合では「現在の金融政策を継続すべき」との見解で一致した。このうち1人の委員は、消費者物価(生鮮食品を除く、コアCPI)やインフレ期待を示す指標に弱さがみられるとの見解を示し、「物価安定目標の達成に警戒信号が点滅している」と指摘。「2%の達成時期が遅れる蓋然(がいぜん)性が高くなる場合には、追加緩和により、2%達成に向けた日銀のコミットメントを示す必要がある」と追加緩和の必要性に言及している。一方、会合では1人の委員が「政策の主目的は量から金利にすでに移行している」として、資産買い入れの柔軟運営を主張。別の委員も、現行の大規模な国債買い入れについて「その遂行にあたって大きな問題が生じる前に、より持続的なものに転換していくべき」と述べている。